経営分析の計算例

2008/05/26

売上高利益率・資本利益率の計算

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を参考のため掲載しました。

1章 会社の収益力を見る7枚のシート

・シート1→売上総利益率 A49.9%[59.8%] B:34.1%[24.6%]

・シート2→売上高営業利益率 A6.2%[5.7%] B:8.8%[4.3%]

・シート3→売上高経常利益率  A:3.8%[7.1%] B:9.9%[4.0%]

・シート4→限界利益率 A:概算46.8%  B:概算33.9%

(解 説)

.販管費のその他の30%を仮に変動コストとして概算すると、変動費部分=324,329×0.3(30%)=97,299千円、

∴変動コスト=売上原価1,596,516+販管費の変動費部分97,299=1,693,815千円、

限界利益=売上高-変動コスト=1,492,631千円、

限界利益率=限界利益÷売上高×100=46.8%。  


.販管費明細書がないため、販管費1,164,281の20%を変動費部分と仮定すると232,856千円、

∴変動コスト=原材料費1,270,865+外注費87,075+当期仕入高1,451,911+販管費の変動費部分232,856=3,042,707千円、

限界利益=売上高-変動コスト=1,557,601千円、

限界利益率=限界利益÷売上高×100=33.9%

・シート5→総資本利益率 A2.8%[10.0%] B:9.1%[4.4%]

・シート6→経営資本利益率 A:概算4.9%[12.1%] B:概算9.7%[5.2%]

(解 説)

経営資本は次のように計算します。
.経営資本=総資本4,321,650-経営外資本(建設仮勘定20,108+投資等274,890=294,998)=4,026,652千円


.経営資本=総資本5,009,061-経営外資本(投資等859,423)=4,149,638千円

・シート7→自己資本利益率 A4.8%[29.1%] B:6.8%[8.3%]

(解 説)

A、Bともに自己資本=純資産合計として計算すればよい。

資産回転率・流動比率の計算

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

第2章 会社の活動力を見る6枚のシート

・シート8→総資本回転率:A.0.74回 [2.0回] B.0.92回 [1.1回]

・シート9→経営資本回転率:A.0.79回 B.1.11回

解説)経営資本の計算はシート6と同じ。

・シート10→固定資産回転率:A.1.15回 [6.1回] B.2.24回 [2.8回]

・シート11→棚卸資産回転期間:A.171日 [34.7日] B.53.1日 [24.2日]

(解説)棚卸資産は、

A.P/Lの期末棚卸高またはB/Sの製品および商品を見る。

B.B/Sの製品・商品・仕掛品669,131千円をみる。(B/Sの棚卸資産=P/Lの期末製品棚卸高352,203+製造原価明細書の期末仕掛品棚卸高316,928となる)

・シート12→売上債権回転期間:A.5.2日 [4.4日] B.125日 [82.3日]

(解説)売上債権は、

A.売掛金45,485千円のみ、B.受取手形667,208+売掛金906,325=1,573,533千円となる。

・シート13→買入債務回転期間:A.2.2日 [4.2日] B.58.8日 [41.8日]

(解説)買入債務は、

A.買掛金18,751千円のみ、B.支払手形447,097+買掛金293,658=740,755千円となる。

3章 会社の支払能力を見る5枚のシート

・シート14→流動比率:A.156.0%  [244.6%] B.231.6% [179.9%]

・シート15→当座比率:A.41.6% [119.3%]  B.172.9% [128.7%]

(解説)当座資産は、

A.現金・預金545,438+売掛金45,485=590,923千円、

B.現金・預金630,201+受取手形667,208+売掛金906,325=2,203,734千円。

・シート16→売上債権/買入債務比率: A.242.6%  B.212.4%

(解説)売上債権と買入債務の計算はシート12&13と同じ。

・シート17→固定比率:A.161.3% [81.3%] B.57.8% [162.0%]

・シート18→固定長期適合率:A.72.6% [37.4%] B.55.1% [67.5%]

自己資本比率と損益分岐点売上高の計算

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

4章 安全性を見る7枚のシート

・シート19→自己資本比率:A.30.2% [30.0%]B.71.1%[29.7%]

(解説)自己資本の計算はシート7と同じ。

・シート20→負債比率:A.230.9%[262.0%]B.40.7%[321.7%]

・シート21→借入金/総資本比率:A.47.7%[42.9%]B.4.5%[46.9%]

(解説)短期+長期借入金は、A.2,062,507千円、B.225,747千円。

・シート22→平均資本コスト(WACC):A.B.

・シート23→費用分解(パート1):A.B.

・シート24→費用分解(パート2):A.B.

(解説)シート22~24は、会社の様々な実状に合わせて計算することになる。

・シート25→損益分岐点売上高:

A.概算2,768,686千円(損益分岐点比率:86.9%[92.3%]) 

B.概算3,871,811千円(損益分岐点比率:84.2%[90.7%])

(解説)シート4から変動コストと限界利益率の計算例を使い、概算する方法を示した。

A.固定費=販管費1,393,044-変動費部分97,299=1,295,745千円、

  損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率46.8%(0.468)=2,768,686千円

  損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷売上高×100=86.9%

B.固定費=労務費295,798+製造経費85,321+販管費1,164,281-販管費の変動費部分232,856=1,312,544千円、

  損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率33.9%(0.339)=3,871,811千円、

  損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷売上高×100=84.2%

2008/05/30

労働生産性と分配率の計算

 小生の著書『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例を紹介しています。  この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。  各数値のAは商業、Bは製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

5章 会社の生産性を見る11枚のシート

シート26→付加価値率(控除方式):A.49.9%、B.38.9%

(解説)付加価値額はA.1,589,930千円、B.1,790,457千円となる。

シート27→付加価値率(加算方式):A.35.4%[46.3%]、B.28.5%[40.0%]
(解説)

A. 総人件費=役員報酬+社員給与・賞与+雑給与=624,563千円、金融費用=69,823千円。∴付加価値=1,129,372千円

B.総人件費=役員報酬(36,760)+給料・手当(339,290)+賞与(73,651)+労務費295,798=745,499千円、金融費用△20,221千円、および賃借料(48,851)、公租公課(15,807)、減価償却費(67,997千円)を加え、付加価値=1,312,368千円を算出。販管費明細書がないため( )の数字は別途資料から記入した。>

シート28→労働生産性: <控除方式で計算>A.11,954千円、B.13,362千円。 <加算方式で計算>A.8,492千円[7,574千円]、B.9,794千円[7,490千円]
(解説)平均従業員数は別途資料からA.133人、B.134人として計算した。

シート29→資本生産性:<控除方式で計算>A.0.87回(土地を除くと2.32回)、B.2.93回(建物・構築物を除くと9.24回)。<加算方式で計算> A.0.62回(同上1.65回)[21.5回]、B.2.15回(同上6.78回)[7.9回]
(解説)
A.有形固定資産1,827,979千円(土地と建設仮勘定を除くと684,122千円)、

B.機械設備=建物・構築物+機械装置+工具備品=611,124千円(建物・構築物を除くと193,700千円)となる。

シート30→現場の稼働率
(解説)生産現場の作業データを整理し各自で分析しよう。

シート31→1人あたり営業利益A.1,480千円[716千円]、B.3,003千円[860千円]
(解説)別途資料から平均従業員数A.133人、B.134人として計算した。

シート32→坪あたり売上高

シート33→客席回転率
(解説)店舗の売り場面積や客席数から各自で算出してみよう。

シート34→労働装備率A. 13,744千円(土地を除くと5,144千円)[235千円]、B.4,561千円(建物・構築物を除くと1,446千円)[1,051千円]
(解説)有形固定資産と機械設備額はシート29を参照する。

シート35→労働分配率:<控除方式で計算>A.44.2% 、B.45.6%、<加算方式で計算>A.62.3%[49.5%]、B.62.2%[73.3%]
(解説)
福利厚生費を含む総人件費は、A.703,273千円、B.816,473千円(別途資料からB.福利厚生費70,974千円を加算した)

シート36→資本分配率:<控除方式で計算>A.3.9%、B.13.5%、<加算方式で計算>A.5.5%[4.8%]、 B.18.4%[3.4%]

2008/05/31

分析数値の総合判定

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

6章 経営の総合力を見る5枚のシート

シート37→総合判定(パート1)

手順2)主要数値のまとめ:

・売上高(千円):A.3,186,446、B.4,600,308

・付加価値額(千円):A.<控除方式>1,589,930、<加算方式>1,129,372。B.<控除方式>1,790,457、<加算方式>1,312,368

・純利益額(千円):A.62,647、B.241,133

・従業員数(人):A.133、B.134

・機械設備額(千円):A.1,827,979or684,122(土地と建設仮勘

定を除く)、B.611,124or193,700(建物・構築物を除く)

・売り場面積(坪):

・総資本額(千円):A.4,321,650、B.5,009,061

手順3)主要項目の分析結果:

・総資本利益率(%)A.2.8[10.1]、B.9.1[4.4]

・売上高総利益率(%)A.49.9[59.8]、B.34.1[24.6]

・棚卸資産回転期間(日)A.171[34.7]、B.53[24.2]

・流動比率(%)A.156.0[244.6]、B.231.6[179.9]

・損益分岐点比率(%)A.86.9[92.3]、B.84.2[90.7]

・労働分配率(%)<控除方式>A.44.2、B.45.6。<加算方式>A.62.3[49.5]、B.62.2[73.3]

(解説)

[ ]内の数値は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を表す。財務指標があるものは標準比較ができるが、ないものは前期、前々期の分析数値を出して期間比較をする。

シート38→総合判定(パート2)

手順1)各項目の分析数字:

《生産性》

・付加価値率(%):<控除方式>A.49.9、B.38.9。<加算方式>A.35.4[46.3]、B.28.5[40.0]

・労働生産性(千円/人):<控除方式>A.11,954、B.13,326。<加算方式>A.8,492[7,574]、B.9,794[7,490]

・資本生産性(回、倍): <控除方式>A.0.87、B.2.93。<加算方式>A.0.62[1.65]、B.2.15[6.78]

・労働分配率(%):<控除方式>A.44.2、B.45.6。<加算方式>A.62.3[49.5]、B.62.2[73.3]。(一般に低いほうがよい比率)

《収益性》

・総資本利益率(%):A.2.8[10.0]、B.9.1[4.4]

・売上総利益率(%):A.49.9[59.8]、B.34.1[24.6]

・総資本回転率(回):A.0.74[2.0]、B.0.92[1.1]

・売上高経常利益率(%):A.3.8[7.1]、B.9.9[4.0]

《安全性》

・自己資本比率(%):A.30.2[30.0]、B.71.1[29.7]

・固定長期適合率(%):A.72.6[37.4]、B.55.1[67.5]。(低いほうがよい比率)

・流動比率(%):A.156.0[244.6]、B.231.6[179.9]

・損益分岐点比率(%):A.86.9[92.3]、B.84.2[90.7]。(低いほうがよい比率)

利益率の総合判定・売上高の分析

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

シート39→利益率の総合判定

・経営資本利益率(%):A.4.9[12.1]、 B.9.7[5.2]

・売上総利益率(%):A.49.9[59.8]、B.34.1[24.6]

・限界利益率(%):A.46.8、B.33.9

・売上高営業利益率(%):A.6.2[5.7]、B.8.8[4.3]

・自己資本利益率(%):A.4.8[29.1]、B.6.8[8.3]

・企業利潤率(%):A.2.8[3.6]、B.6.2[3.8]

(解説)

当期純利益+減価償却費(簡略式のキャッシュフロー)は、A.121,558千円、B.309,130千円として計算した。[ ]内の数値は同じ従業員規模の財務数値を表す。

全体としてA.(小売業)は売上高営業利益率を除き平均値より劣るが、B.(製造業)は大変優れていることがわかる。B.の自己資本利益率が低い理由は、自己資本が多い(自己資本比率71.1%)ためで、一概に悪い評価は下せない。

シート40→ROIチャート(パート1)

A.総資本利益率2.8%[10.0%]=売上高経常利益率3.8%[7.1%]×総資本回転率0.74回[2.0回]

B.総資本利益率9.1%[4.4%]=売上高経常利益率9.9%[4.0%]×総資本回転率0.92回[1.1回]

解説)

上記の関係を、「資本の収益性=事業の収益力×資本の活動力」と考えれば、収益力(利益率)と活動力(資産の回転率)の二つの体系に分けて問題点を追求することができる。

本書のROIチャートにより各数値を埋めていけば、容易に経営課題をつかむことができるだろう。

シート41→ROIチャート(パート2)

(解説)

使い方はシート40と同じだが、こちらでは財務内容の問題点を洗い出す。

7章 販売を伸ばす9枚のシート

シート42~45→売上高の分析(パート1~4)

シート46→値入率

シート47→交差比率

シート48→商品の利益貢献度

シート49→売れ筋分類

シート50→ABC管理

(解説)

この9枚のシートは、販売データを入手し各自職場で分析を進めて頂きたい。

2008/06/01

販売管理費比率・人件費比率の計算

 『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)から、各シートの計算事例をご紹介します。

 この本の巻末に添付した「折込み式決算書」の数字を使い、経営比率などの算定または概算をしています。

 各数値の商業製造業、端数は四捨五入。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を掲載しました。

8章 会社のコストを下げる7枚のシート

シート51→販売管理費比率:A.43.7%[54.1%]、B.25.3%[20.3%]

シート52→販売費比率:

(解説)

明細書から販管費を人件費、販売費および管理費の3つに分け、それぞれ比率をつかむ必要がある。

シート53→人件費比率:A.22.1%[22.6%]、B.11.3%[11.1%]。労務費比率:B.6.4%[17.4%]

(解説)

人件費(福利厚生費を含む)はA.703,273千円、B.520,675千円(労務費295,798千円を除く)として算出した。[ ]内は同じ従業員規模の財務指標(業界平均値)を表す。

シート54→1人あたり平均人件費A.5,288千円or4,696千円(福利厚生費を除く)[4,632千円]、B.6,093千円or5,563千円(福利厚生費を除く)[5,399千円]

(解説)

専従役員を含む従業員数および人件費は、A.133人および703,273千円(福利厚生費78,710千円を含む)、B.134人および816,473千円(福利厚生費70,974千円と労務費295,798千円を含む)。

シート55→福利厚生費比率:A.11.2%、B.8.7%(総人件費に対する割合)

シート56→広告費比率:

(解説)

販管費から広告・宣伝・PR関連の費用を抜き出し、売上高に対する割合を計算します。

シート57→支払利息比率:A.2.19%[0.4%]、B.△0.44%[1.0%]

以上で基本的な計算事例のご紹介は終わります。

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