「中小企業の財務指標」の特徴①(サービス業種が充実)
・標本数は大幅増加、各種サービス業の指標が充実
今月出版した『<一瞬でつかむ>経営分析すらすらシート』(㈱中経出版)は、読者が計算した経営比率を業界平均と比べられるようになっています。
業界平均は、平成19年版「中小企業の財務指標」(中小企業庁編、中小企業診断協会発行、同友館発売)から直近3ヵ年平均を出して掲載しました。
従来の経営指標(標本約8千社)は平成16年に完結し、17年から財務指標(標本約82万社)に変わったためです。
標本数が大幅に増えるとともに、指標の種類も30項目から40項目に拡大、キャッシュフローや付加価値の分析比率が加わりました。
業種別では、これまで不足していた情報通信と運輸、不動産、医療保険などのサービス業種関連データが充実したといえます。
経済のサービス化にともない、各種のサービス業が進出展開しているので、活用範囲はさらに広がることが期待されます。
・標本企業の平均像は小型化し財務内容は低下
上位の中小企業にシフトしたこれまでの経営指標とは違い、財務指標の標本は平均的に小規模化し、低水準の指標が少なくありません。 例えば、建設業の平均従業員数は経営指標34人→財務指標19人、製造業は同じく60人→48人、卸売業は46人→28人となり、明らかに小型化しています。ただし、小売業は逆に16人→27人へと拡大しました。 財務指標の原本には、4段階に分けた従業員数区分と都市区分(流通業向け)のデータが出ているのですが、残念ながら紙数の関係で著書には詳細は盛り込めませんでした。
また自己資本比率など、一部に低水準の数値が目立ちますが、これは大量のデータを「中小企業信用リスク情報データベース(CRD)」に頼るためと考えられます。 おもに金融が主眼の信用情報ですから、財務内容(資本構成)に問題のある企業データが多く蓄積されるのは当然でしょう。
中小企業庁では、財務指標の概要版をホームページで公表しています。

