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2008/12/20

経営を見る5つの数字(P/Lポイント講座④)

損益計算書を読むポイント!

●5つの数字で稼ぎと儲けの全体像を見よう!

 損益計算書を一覧し、まず会社の収益力の全体像をつかむことが大切です。
 5つの数字とは、売上高と売上総利益、営業利益、経常利益および当期純利益です。

 冒頭の売上高と末尾の当期純利益から、会社の営業規模と儲けの大きさがわかります。
 また、今期は増収増益(売上も利益も前期より増加)か減収増益(売上は減少したが利益は増加)かなど、事業の好不調を知ることもできるでしょう。

 売上総利益と営業利益、経常利益についても、それぞれ利益額の大きさだけでなく、その源泉は収益上昇かコスト低減かをよく探る必要があります。
 どの利益が満足水準でどの利益が不足なのか、その原因を追求すれば会社の強み・弱みがはっきりし、解決すべき課題が見えてくるからです。

●売上高、売上総利益は伸びているか?

 売上高は、第一の収入源ですから一応見ますが、何といっても大事な数字は、本当の稼ぎである売上総利益です。
 総利益の改善は、好調な営業活動によるのか原価見直しの成果か。これはおもに、販売政策と商品力に左右される利益です。

 新分野の開拓と商品開発、効率的な物流システムと在庫管理など、高付加価値経営による利益貢献度がわかるでしょう。
 総利益を伸ばすには、売上高を増やすか売上原価を減らすしか方法はありません。
 激しい競争環境のもとでは、得意分野への集中とコストダウンが至上命題となることはいうまでもないことです。

●会社は本業で確実に儲けているか?

 いくら総利益がよくても営業利益がわるければ、残念ながら管理者は失格といわなければなりません。
 営業利益の大きさは、会社の本業による業績判断の尺度になります。
 それは、総利益が大きいためか販管費の節約によるものか、積極的経営やリストラの功罪が明るみになるでしょう。

 経費合理化は店舗・工場のローコスト・オペレーションと人材活用、管理水準の向上が決め手です。
 営業利益が十分確保できていれば安心ですが、これが赤字なら、会社が危機に転落する前に、抜本的な打開策を打ち出す必要があります。
 いずれにせよ、本業で満足水準の営業利益が出ているかどうかが、会社の業績判断の大事な目安と考えてよいでしょう。

≪ワンポイント・アドバイス≫

●数字は頭から3ケタで大まかにつかもう!

 キーワードとなる数字は売上高、売上総利益、営業利益、経常利益および当期純利益の5つで、これを頭から3~4ケタの大きな単位でつかめばよいでしょう。
 6~7ケタもある数字を末端まで几帳面に読んでも、記憶に残らず全体像はつかめません。

 細かい勘定科目は後回しにして、中項目の5つの数字を百万円か億円単位で読めばよいのです。
 数字は頭から3ケタくらいが覚えやすく、末端まで正確に読む必要はありません。

●在庫膨張で計算上の利益は増える!

 売上総利益は、売上高から売上原価を引いた差額です。
 「売上原価=期首棚卸高+当期仕入高+製造原価-期末棚卸高」から、仕入高と製造原価だけでなく、棚卸高も売上原価を左右することがわかります。 
 ですから、期末棚卸高(在庫高)が増えると売上原価は下がるため、計算上の総利益が増えることになります。

 メーカーでは、製造原価報告書に「製造原価=原材料費+外注費+労務費+製造経費」の内訳が示されています。
  
 このことは、在庫管理がいかに重要かを示唆しているのです。
  仕入れは交渉相手のあることですが、在庫の圧縮は、社内のやる気と管理能力の問題です。
 さらに、在庫には多額の資金が滞留することを考えると、コスト面だけでなく資金面からも無視できない課題といえるでしょう。

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